最近、外来で多いのが、「水いぼがあるので保育園・幼稚園のプールに入れてもらえない」という相談です。しかし、これは間違いです。現在の医学的な考えは、「水いぼはプールの水を介してはうつらない→プールに入るのはOK」というものです。これは、
①日本皮膚科学会など3学会合同による声明「皮膚の学校感染症について(平成27年)」(リンク)
②日本小児科学会「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説(2024年版)」p38(リンク)
③厚生労働省「保育所における感染症ガイドライン(2018年)」p66(リンク)
いずれにも明記されており、現在の医学界の統一見解と考えてよいものです。そもそも、水いぼは、接触感染でうつるもので、屋内や広場で露出した肌が触れ合ったり、おもちゃを介してうつることも十分ありえるので、プールだけを特別視するのはおかしいと考えられます。また水いぼだけで発熱や咳や鼻水が出ることはなく、他の感染症に比べると危険度は極めて低い病気です。
注意点は、タオル・浮き輪・ビート板などの共用は避ける、プール後は肌をシャワーできれいに洗う、というものです。また、水いぼを掻いてしまって赤いキズ状になると、とびひ(伝染性膿痂疹)の可能性があり、この場合はプールは控える必要があります。
今年は相談のあったケースでは、その場でいくつかの保育園や幼稚園に直接電話をかけて、先生方に上記の見解を説明したり、親に上記①の解説書を渡して園と相談するようお話したりしてます。
ただ、現時点では上記の見解が十分に周知されておらず、現行の園のルールも簡単に変更できず、結局この夏にプールに入れてもらえないところもあるようで残念なところです。